外国人材を採用すると決めた後のABC
今回は外国人材の採用ノウハウについてご紹介します。
・外国人材採用を決定したが、何からはじめたらよいかわからない方
・外国人材の採用方法に関して情報収集している方
上記の方は是非ご参考いただけましたらと思います。
採用ターゲットの明確化
とにかく集めた母集団の中で、優秀な人を採用するという方法は中小企業には向いていません。
まず一定数以上の母集団をつくることが大変なこと、そして採用担当がその中からふるいにかけるといった業務に手をとられ本当に自社にマッチする人材を逃してしまうことが多いからです。
集めてからその中で優秀な人を採用するよりも、自社のニーズにマッチする人を採用する方がオススメです。
そのためにまず、自社が必要とする人物像を明確にしましょう。
■どのような業務をお願いする予定なのか
■必要な日本語能力は読み・書きそれぞれどれくらいの水準なのか
■自社で活躍してもらうためにどんなパーソナリティやスキルを持った人材にきてほしいのか
理想論ではなく、現実的な水準で設定することが大事です。
採用チャネル
外国人材を採用するにあたり、まずは外国人材へ接触の機会をもたなくてはなりません。
以下に代表的な外国人材の募集媒体(採用チャネル)を記載します。
・ハローワーク(外国人雇用サービスセンター)
・大学・専門学校・日本語学校 ・人材紹介企業の活用
・求人媒体への広告掲載
・友人、知人、取引先など何らかの縁故のある方からの紹介
・自社ホームページ/SNS
・各種公的機関・団体のサービス利用
中小企業が外国人材を初めて採用する際に多いのが、何らかの縁故のある方からの紹介による採用です。仲介してくださる方が人柄や相性などを担保してくださっている場合安心感があります。
そういった縁故がなくとも、留学生を多く抱える大学・専門学校・日本語学校は企業からの求人を募集しており、外国人留学生自身も、外国人材向けの求人が少ないと感じています。
教育機関とのパイプが構築できた場合思わぬ紹介をいただける場合もあります。
また各種公的機関・団体サービスを利用するのも有効な手段です。
東京都 中小企業の外国人材受入支援事業でも無料で参画いただけるインターンシップや合同企業説明会を開催しておりますのでよろしければ是非ご利用ください。
求人票の書き方
外国人材を採用する際には総合職と一括りにすることはオススメできません。
自分自身へのキャリアへのこだわりが強いという傾向が外国人材の特性としてあるからです。
外国人材の目線から考えた場合、わざわざ母国を出て外国である日本で仕事をするのですからキャリアにこだわるのはある意味当然といえます。
したがって、求人票や求人を出す際には、
1:具体的にどのような業務を担当してもらうのか?
2:そのことを通じて、どのように成長できるのか?(貴社で働くとどのように市場価値が上がるのか?)
を明記すると外国人材にとって魅力的な求人として写る可能性が高まります。
選考方法
・日本語運用能力に関して
日本語能力の目安として、日本語能力試験(JLPT)を使用する企業も多いと思います。
しかし、日本語能力試験(JLPT)はあくまでもリスニング、リーディングのみをチェックするテストであり、スピーキングとライティングは測定されません。
口頭では日本語能力が高いと感じたが、実際書かせてみると全くだったということもあります。
ですから、面談を通して実際の会話能力を確認する他、簡単な質問に対して文章で回答させるなどの日本語の筆記能力もテストしておくことをお勧めします。
またN1、N2といったJLPTのランクに左右されすぎないことも重要です。
※日本語能力試験(JLPT):N5から始まり、N1が最高レベル
試験がリスニングとリーディングに限られているJLPTでは、どうしても漢字圏の出身者(中国・台湾・韓国など)が有利になります。
そのため、N1を取得している漢字圏の出身者よりも、N2を取得している非漢字圏出身者(東南アジア・欧米など)の方が、日本語を聞き・話す能力に関してははるかに勝っているということもよくあります。
JLPTについてはあくまでも目安と思った方がよいです。
・入社に対する認識の違い
日本人は、入社する=会社に忠誠を誓う、会社の要求にも極力合わせる
という暗黙の認識がありますが、
外国人材にとって、入社=自分の持つスキルと会社の必要とするスキルがマッチし、契約を取り交わした
という認識です。
かなりドライと感じられる方もいらっしゃるかもしれませんが、実は日本式の入社の方が、グローバルスタンダードで考えたとき異例です。
もちろん日本文化をよく理解した留学生などの外国人材は、日本式の入社をある程度は理解してはいます。
しかし日本式の入社は、外国人材にとってまだまだ違和感のあるものと認識しておいた方がよいです。
どこまで、外国人材に日本式の入社を求めるか、あるいはジョブディスクリプション(職務記述書)を取り入れた外国人材とっては馴染み深い、グローバルスタンダードに合わせていくのかは、各企業の経営判断になります。
*ジョブディスクリプション=職務記述書、職務のポジション名、目的、責任、内容と範囲、求められるスキルや技能、資格など。特に職務内容と範囲を明確にするためのもの
こう書くと、なにやら難しく聞こえてしますかもしれませんが本質的には、日本・日本以外とも変わりません。
外国人材でも日本人でも、人として認められ、自分の将来のビジョンにつながる働き方がしたいという思いは万国共通です。
この基本を押さえて採用活動とその後のマネジメントを行っていくことが大事です。
内定承諾
内定を出してゴールではありません。内定承諾を取り付け、入社日までに就労資格を取得できて初めて外国人材の採用できたことになります。
出した内定を外国人材に承諾してもらうためには、内定を出すまでの面接等での関わりが重要になります。
具体的には、
外国人材を面接し、入社してもらいたいと思った場合には、なぜその外国人材の力が必要なのか??
どのような業務を担当してもらい、将来的にはどのようになってもらいたいのか?(キャリアモデル)を提示し、外国人材の志望動機が上がる、魅力づけすることが効果的です。
またもうひとつ、是非取り入れていただきたいのが、どの点を評価して内定を出したのかを明らかにすることです。
外国人材に限らず日本人も同じですが、評価されたいと思っています。
外国人材は評価に対するこだわりが日本人より高いので、採用理由を明らかにすることは好印象を与えることができるはずです。
在留資格の取得
外国人材を採用する際に必要となるのが、在留資格の取得です。
外国人材の学歴や状況、就労する業種・職種によりケースバイケースの対応となりますので、専門家の行政書士にお問い合わせください。
平成30年度の在留資格の変更許可率は83.9%です。
せっかく面接を経て、内定承諾に至ったけれども入国管理局に許可されない。
となってしまっては、企業にとっても外国人材にとってもマイナスです。
なので、1回目の面接の段階で、採用したいなと感じた外国人材に関しては、入国管理局で許可される可能性が十分あるか、リーガルチェックを行政書士にお願いすることをオススメします。
実際に、内定承諾及び、在留資格の変更も完了してからの社内の受入制度等に関しては、外国人材受入の社内制度のABCをご覧ください。
<記事作成>
東京都「外国人材受入総合サポート事業」受託運営会社
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